Wednesday, 2 March 2016

装飾写本ワークショップ(続き)



前回、キリストとセラフィム達の絵は、キリストの光輪にジェッソを塗り、縁取り部分にガム・アンモニアックを塗ったところまででした。今日はその続き。上の写真は、縁取りに金箔を貼ったところ。



そしてこれが、光輪部分に金箔を張った後。金箔を置いたら、瑪瑙が先に付いている磨き棒で磨くのですが、 そうすると下地がジェッソの上に張った金箔はピカピカに。神々しいおます。…でも写真ではよく分からないけど、私の光輪デコボコです。



ジェッソやガム・アンモニアックは、一旦乾かし、その後このように息を吹きかけて表面に湿り気を与えます。そうすると金箔がくっ付く程度に粘着度が出るのです。因みにここで水分を吸う働きをするのは、ジェッソや ガム・アンモニアックに含まれる砂糖または蜂蜜。



金箔を置いたら、ガム・アンモニアックが下地の場合はグラシン紙の上から磨きます。 下地がジェッソの場合は、最初だけグラシン紙を用い、その後は直接金箔の上から磨けます。



そのあいだあいだに、 柔らかいリス毛のブラシで金箔屑を払います。



縁取り部分に使ったのは、裏紙が付いている、トランスファー・ゴールドと呼ばれる金箔。光輪部分は、上の写真のような、ルース・ゴールドをギルダーズ・ナイフと呼ばれる専用のナイフで適切な大きさに切って使いました。縁取り部分は、確か三重、光輪部分は二重に金箔を張ったと思います。



金箔を張ったら、いよいよ色塗り。中世の装飾写本は、文字が入る場合はまずスクライブと呼ばれる文字書き専門の人が、イラストの入る部分を除いてテキストを書き、その後にイルミネーター呼ばれるイラストレーターに原稿が回されたそうです。字も絵も出来るという人はいなくて、完全分業だったそうな。そしてイラスト(イルミネーション)部分は、まず金箔を張り、その後に色塗りという順番です。

伝統的に、朱色には、ミニウムと呼ばれる鉛を熱した赤が使われたそうですが、鉛は有毒なので、ウィンザー・&・ニュートン社のウインザー・オレンジ・レッド・シェード、という色で代用。


セラフ全員塗り終わり、イエスの顔も途中まで出来たところ。実はキリストの顔を大体塗り終わった段階で先生に、これからどう色を入れて行くのか聞きにいったら、 チョイチョイ、とキリストの顔をブラシでいじって立体感を出す方法を教えてくれました。…で、ついでに先生、キリストの目もいじっちゃったので、細目のイケメンの目が、突然大きくなった。今、大きくなった彼の黒目部分に、ポチっとハイライトを入れたい衝動に駆られております。伝統的なキリストのイコンを見ると、黒目にハイライトは、どうも入れないみたいだけど…。 (そりゃそーだ。少女漫画じゃないんだから)


こちら、それぞれの段階を示した先生の作品。わー、ほんまもんのキリストだー。顔のディテールがすごい。そして艶やかでムラの無い光輪がすばらしい。でも技術は拙いけれど、実は私は自分のキリストの顔の方が好き〜、と言える私ってば幸せモノだな。

…と、ここまでで、ワークショップは時間切れになりました。あとは各自、家で仕上げる、ということで、今の段階は下のような状態です。



ああー、背景の青が塗りムラひどすぎーーー。超不満。完成までには、まだあとセラフィムの羽根にハイライトを入れ、キリストの顔にもう少し陰影を付けて髭をもっと立派にし、背景にシェル・ゴールドで光を入れる、という工程があります。

ちなみに、牛皮紙に描いていた植物モチーフは、こんな感じになりました。




牛皮紙、表面がツルツル、サラサラで、描いててすっごく気持ちが良かったです。筆の滑りがすぅーーっという感じで、静か〜な気持ちになります。植物専門の細密画家が、この表面を好むのもよーくわかる。もう少し安価なものなら良いのにねえー。