Thursday 21 January 2016

Two Pigeons@Royal Opera House



年末と年始にロイヤル・オペラ・ハウスで、フレデリック・アシュトン振り付けの「二羽の鳩」を観てきました。年末に観たキャストは、主役の女の子がローレン・カスバートソン、男の子がワディム・ムンタギロフ、ジプシーの女がラウラ・モレラ。年始のキャストは、女の子がユーフィ・チェ、男の子がアレクサンダー・キャンベル、ジプシーの女がイツィアール・メンディザバル。

第一幕:アーティストがアトリエでガールフレンドの肖像画を描こうとしてるんだけど、ガールフレンドがそわそわ落ち着きがなくじっとしていない。その上隣人がやってきたり、白い鳩が飛んできたりで、ちっとも作品が進まなくて、アーティストの彼はキレちゃう。そんなところへジプシーの一行がやってきて、アーティストの彼はジプシー・ガールの色っぽさにクラクラ。女の子は競争心むき出しでジプシーの女と踊りで張り合うんだけど色っぽいジプシーの敵ではなく。で、アーティストの彼は去っていくジプシーを追いかけて行ってしまう。

第二幕第一場:ジプシーを追ってジプシーの根城にたどり着いたアーティストの彼。最初はジプシーの女も他のジプシーも愛想よく一緒に踊ってたけど、最終的にはジプシー女の元々の彼との勝負に負け、ボコボコにされて放り出される。(ちなみにこの勝負の部分、なんと腕相撲。女を賭けた勝負が腕相撲かよーー、ってちょっと笑った)
第二幕第二場:悲しみに打ちひしがれ、一人アトリエで沈み込む彼女のところに、白い鳩を肩に乗せたアーティストの彼が戻ってきて許しを請う。もう一羽の白い鳩が飛んで来て二人は仲直り。

鳩の動きを、両肩を前後に揺すり同時に頭も前後に動かすことで表現する、コミカルな動きがところどころに挟み込まれていて、全体的に軽いタッチの楽しくてチャーミングな小品。音楽も明るくて、観てて楽しい。あー、アシュトンって天才〜〜!今まで「二羽の鳩」が上演されたことって記憶に無いので、こういう小品の埋もれた秀作って、他にも一杯あるんじゃないかなと思わせる。そういうの色々掘り起こしてきてリバイバル上演して欲しいものです。

ローレンの女の子は、ちょっと良いとこのお嬢さん、みたいな感じでした。明るくて素直で、ちょっと多動気味であーぱーな女の子な感じがよく出てた。ふふ。ムンタギロフ君のアーティストの彼は、ちょい美しすぎで説得力に欠ける。彼って王子様タイプなのねー。ローレン、綺麗なのに、エレガントなムンタギロフ君の方ばっかりに目が行ってしまう。彼もやはり、いいとこのお坊ちゃんが趣味でアーティストを気取ってる、って感じ。

そして、ラウラ・モレラのジプシー女が素晴らしかった。いやもう、情熱的で色っぽくって、動きに華がある。全身にみなぎるジプシーのたぎる血を感じる。いやー、こんなの来たら、子供っぽい彼女なんて飛んでる蚊ぐらいにしか見えなくなっちゃうよね、そりゃーついフラフラと付いていっちゃうよねー、って感じ。

でもジプシー女と女の子が踊りで張り合う場面、女の子役はワザと下手くそに、どんくさく踊らなくてはならないわけで、あれってプロのダンサーにしたら結構難しいよね、と思います。でもどんくさい踊り、ローレンもユーフィちゃんも彼を取られそうな焦りが出てて可愛かった。

ユーフィちゃんの女の子は、彼の事が大好きな普通の女の子って感じで、多動でじっとしていられないのではなく、彼の注意を引きたいかまってちゃんな感じでした。なんかとってもいじらしくて可愛い。振り付けには、クラシカルでは無い動きにくそうな動きも沢山入っているけど、相当練習したのかな。鳩っぽい動きが堂に入っていました。

アレクサンダー・キャンベルって、今ひとつピンとこないダンサーだったんですが、このアーティストの役はよく合ってました。ほんとにアーティストとして大成したいんだ!っていう夢を持って制作に励んでる感じで、仕事の重要さが分からない彼女にイライラする人間臭さに説得力がありました。いやぁ、ダンサーも役どころによって、こんなに良く見えるものなんですね。そして主役のユーフィちゃんがちゃんと際立つ、バランスの良いカップルでした。このアーティストの役は、周りにダイアモンド・ダストが舞ってるようなキラキラしたムンタギロフ君よりもキャンベルの方がハマってると思う。

ジプシー役のメンディザバルは、うまくこなしていたけど、やっぱりバレエ・ダンサーがジプシーの踊り踊ってますって感じで、うーん、ラウラを見てしまったあとでは、ちょっと物足りなかった。…でも足の線が美しくてステージの端で座っている時は、つい彼女の足ばっかり見てしまいましたよ…って、おやじかい。


つい見惚れる脚線美。


二幕の終わりに彼が帰って来てよりが戻るシーン、ムンタギロフ君の時は、あー、そんな情けない男、やめといた方がええんちゃうーー?えええー、許すのー?また同じことするでーって思いましたが、キャンベルの時は、この彼はちゃんと反省して女の子を大事にするんじゃないかな、って思えました。なんだこの印象の差は。

ところでこのバレエ、本物の白い鳩が二羽出てきます。 よく訓練されててほんとにおりこうさんな鳩達で、最後の方の場面で二羽の鳩
が一緒になるシーンなんて鳩可愛すぎ。カーテンコールに鳩を出せーって思いましたが、出てきませんでした。それにしても鳩って調教できるんだなぁ。

ロイヤル・オペラ・ハウスのチャンネルから借りてきた、リハーサル・シーン動画。クリストファー・カーの熱の入った指導が微笑ましい。




 

2 comments:

  1. これ、映画館で観ます。楽しみ~。
    キャストによってがらっと変わって面白いですね。
    本日金子ふみさんが代役だそう。
    ラウラは怪我かしら。早く回復してほしいです。

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  2. ふみさんのジプシー、どうでしたか?またレビュー楽しみにしてます。

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